| ■遺伝子ってなあに? 生きものはその姿や形、性質などが親から子へ伝えながら生きています。そのことを遺伝と言いますが、これを担っているのが遺伝子です。 ヒトや植物など、生きものは小さな細胞(さいぼう)というものでできています。細胞の中には染色体と呼ばれるものが入っています。染色体はDNA(デオキシリボ核酸)とタンパク質が集まった塊です。そのDNAが遺伝子を構成しています。 細菌や植物、動物にいたるまで、すべての生物は、遺伝子を持っています。遺伝子は蛋白質の設計図で、1つの遺伝子から1つの蛋白質が作られす。DNAの上には、これら蛋白質の設計図=遺伝子がいくつも並んでいます。 DNAは、A(アデニン),T(チミン),G(グアニン),C(シトシン)の4種類の物質(=塩基)がたくさんつながった鎖のような形をしています。 この塩基は、その並び方によって意味を持っていて、例えば、G-T-Cという並び方は、「グルタミン」というアミノ酸を意味します。このように、塩基3個の並び方が、1つのアミノ酸に対応しています。この暗号どおりに、アミノ酸をつなげていくと蛋白質ができます。蛋白質は、体を作ったり、体調の調節をしたり、酵素などとして働きます。 |
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| ■遺伝子組み換え食品とは 細菌などの遺伝子の一部を切り取って、別の生物の遺伝子に組み入れたりすることができるようになりました。そうした遺伝子組み換え技術で作り出した作物や、その作物を原料として使った食品を遺伝子組み換え食品と呼びます。例えば、特定の除草剤を分解する性質を持った細菌から、その性質を発現させる遺伝子を、大豆の細胞に挿入することで、その除草剤に強い大豆が偶然作り出されています。 遺伝子組み換え技術を応用した食品は、除草剤耐性の大豆や殺虫性のトウモロコシなどの農作物と、遺伝子組み換え大腸菌に作らせた牛成長ホルモンのように、組み換え体そのものを食べない食品添加物のようなものに分けられます。 |
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| ■遺伝子組み換え技術と従来の品種改良とはどう違うの?
遺伝子組み換え技術を応用することで、生物の種類に関係なく品種改良の材料にすることができるようになりました。従来の人工交配による品種改良でも遺伝情報は混ぜられており、また人工的に起こした遺伝情報の突然変異を利用することもあります。しかし、生物の「種の壁」を越えることはできませんでした。 遺伝子組み換え技術が従来の品種改良と異なる点は、人工的に遺伝子を組み換えるため、種の壁を越えて他の生物に遺伝子を導入することができる点です。結果、改良の範囲が拡大し、改良期間の短縮が可能です。 |
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| ■安全性は? 安全性の確認は、 ・挿入遺伝子の安全性(急性毒性) ・挿入遺伝子により産生される蛋白質の有害性の有無(急性毒性) ・アレルギー誘発性の有無(既知のアレルゲンと似てない) ・挿入遺伝子が間接的に作用し、他の有害物質を産生する可能性の有無(姿、形の変化の有無) ・遺伝子を挿入したことにより成分に重大な変化を起こす可能性の有無(主要成分の大きな変化) 等を開発企業の提出した書類によって審査しています。第三者機関による試験は実施していません。 遺伝子組み換えを容認している国の政府や、開発企業の安全性評価の考え方は、経済協力開発機構(OECD)が決めた「バイオテクノロジー応用食品の安全性評価:概念と原則」に基礎を置いたもので、「実質的同等性」という考え方です。これは、組み換えられた生物が、その姿,形,主要な成分において組み換え前のものと大体同じならば細かい成分比較や中・長期の毒性試験は行わなくて良い、とするものです。 この考え方は余りにも開発企業寄りなので、世界中から危惧する声が高まってきた結果、現在CODEX(世界保健機構WHOと世界食料機構FAOによる食品に関する合同機関)においてバイオテクノロジー特別部会(議長国=日本)が設けられ遺伝子組み替え食品の安全性についての論議が、ようやく開始(2000年3月〜)されました。 現在の日本における安全性評価指針は、遺伝子組み換え食品を製造する業者等が任意に従う指針(ガイドライン)で、法的な強制力はなく、指針への適合性の確認を厚生大臣に申請するかどうかは任意です。厚生省では、2001年4月から、安全性審査の行われていない食品の製造・輸入等を禁止することとしています。 |
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| ■日本で承認されたものは何種類あるのですか? 厚生省が「安全性」を審査し、評価指針に適合していると評価したものとしては、とうもろこし,なたね,じゃがいも等の農作物29品種と、キモシン,α-アミラーゼ等の食品添加物6品目があります。 組み換え農作物の食品としての安全性の確認状況 |
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| 農作物 |
開発国 |
確認した年 |
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| 除草剤の影響を受けないダイズ |
米国 |
1996 |
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| 除草剤の影響を受けないナタネ(3種類) |
カナダ |
1996 |
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| 害虫に強いジャガイモ |
米国 |
1996 |
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| 害虫に強いトウモロコシ(2種類) |
米国 |
1996 |
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| 除草剤の影響を受けないナタネ(6種類) |
カナダ |
1997 |
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| 害虫に強いジャガイモ |
米国 |
1997 |
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| 除草剤の影響を受けないトウモロコシ |
米国 |
1997 |
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| 害虫に強いトウモロコシ |
米国 |
1997 |
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| 害虫に強いワタ |
米国 |
1997 |
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| 除草剤に強いワタ(2種類) |
米国 |
1997 |
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| 日持ちの良いトマト |
米国 |
1997 |
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| 除草剤の影響を受けず、雄性不稔性のナタネ |
カナダ |
1998 |
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| 除草剤の影響を受けず、稔性回復性のナタネ |
カナダ |
1998 |
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| 除草剤の影響を受けないナタネ |
カナダ |
1999 |
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| 害虫に強く除草剤の影響を受けないワタ |
米国 |
1999 |
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| 除草剤の影響を受けないテンサイ |
米国 |
1999 |
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| 除草剤の影響を受けないトウモロコシ(3種類) |
米国 |
1999 |
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| 除草剤の影響を受けないナタネ |
カナダ |
1999 |
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| ■遺伝子組み換え食品推進派の主張 1.遺伝子組み換えは食糧難を救い、地球環境問題を解決 遺伝子組み換え技術は、農林水産業・食品産業や関連産業の抜本的な体質強化、生産物の多様化・高付加価値化に役立ちます。画期的な新品種の作出、生産工程の効率化等といった貢献はもちろんのこと、ジーとしても期待されてい21世紀の食料問題、地球環境問題等を解決するためのキーテクノロます。分解するプラスチック製品やエネルギー資源としてなど、これまでと異なった生物の利用形態を生み出す上でも有効です。 具体的には、遺伝子組み換え技術は、次のような課題への対応を可能にする技術といえます。 @消費者ニーズに沿った農林水産物・食品の生産 栄養成分や機能性成分(抗ガン効果等)に富む農作物、日持ちの良い農作物、アレルギー原因物質を除いた食品の生産 A生産力の飛躍的向上による食料問題解決への貢献 超多収農作物、低温・乾燥・塩害などの不良環境や病虫害に強い農作物の開発 B環境・資源問題の解決への貢献 生分解性プラスチック、環境浄化微生物、病虫害抵抗性を付与することによる農薬使用量の減少、生物エネルギー等の開発 2.遺伝子組み換えは従来の品種改良の延長線 3.遺伝子組み換えの長所 4.遺伝子組み換えは安全 |
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| ■遺伝子組み換え食品反対派の主張 現在の遺伝子組み換えでは、生物の細胞から遺伝子を切り取ることや、生物の遺伝子を合成することはできるようになりました。しかし肝心の「組み込み」については、人間は制御できません。できるのは目的の遺伝子セットを目的の宿主生物の細胞に「潜り込ませる」だけで、その先の「組み込み」は、生物任せです。遺伝子セットが、宿主の染色体のどこに入るか、あるいはいくつ入るかは、全部偶然に頼っています。 健康食品として販売されていた必須アミノ酸の一つである「L−トリプトファン」を食べた人が、「好酸球増加筋肉痛症候群」という症状を起こしました。1988〜89年にかけて判っているだけでも米国を中心にして約1,600人の被害者を出し、そのうち38人が死亡するという食品公害がありました。その「L−トリプトファン」製剤は、日本のある企業が遺伝子組み換えをした細菌に作らせて製品化したものでした。予期せぬ2種類のタンパク質が生成され、それがある体質の人に作用した結果のことでした。 米国コーネル大学のジョン・E・ロゼイ助教授のチームは、英国科学誌ネイチャー5月号に殺虫成分(=Btタンパク質)を導入した殺虫性トウモロコシが、チョウに被害を及ぼす恐れがある、との研究結果を発表しました。実験は、殺虫性トウモロコシの花粉を振りかけたトウワタという植物の葉を、オオカバマダラという米国では有名な蝶の幼虫に食べさせたところ、4日間で幼虫の44%が死亡し、生き残った幼虫も発育不全になったというものです。 |
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