|
|
全国講演会では、会場からさまざまな質問が寄せられました。実験結果への質問から、遺伝子組み換え技術について、また遺伝子組み換え食品の現状について、と幅広いものでした。今回はキャンペーンなどで答えられる範囲の回答を掲載し、以降、エルマコヴァ博士からの回答を含め、順次ホームページに掲載していきます。 |
|
| *質問の後の( )は、会場名。 |
|
「Q&A 1〜8」 |
|
次へ進む「9〜16」|「17〜25」 | 「26〜30」 |
|||||||||||||||
Q1 使用した大豆は生か加熱か
Q2 GMOの影響を見る動物実験では、どのような論文が出ているのか
Q 有名なNature誌のオオカバマダラの論文は、後に科学的に間違いだったことが証明されており、そのことはGM科学者の間では常識となっています。この間違った論文をあえて示し、また正式に科学的に評価されていない論文を紹介することで、一般消費者に不安と混乱を与えていると思う。一方で、「Pubmed」にはGMの安全性を証明する論文もあるのに、こちらは引用しない理由を教えてください。(東京) A コーネル大学のJ.E.Loseyらが行ったオオカバマダラの論文(Nature:1999年)がまちがいだという科学的証明はありません。その後、米国科学アカデミーの雑誌に「影響ない」という推進派の研究者の論文がでて、多くの科学者はそう信じていますが、この論文で使ったトウモロコシは、花粉ではBt毒素が作られておらず、影響がないのは当然です。こうした大変意図的な研究が権威ある雑誌に載ること自体が現在の科学界の状況を物語っています。「オオカバマダラの食草に付着したBt毒素を含む花粉の密度の問題だ」というのが正しい解釈で、カナダのゲルフ大学の研究者の論文でも確認されています。また、コーネル大学の論文は実験室での実験だと批判されましたが、その後アイオワ州立大学のL.C.HansenとJ.J.Obryeki(2000年)は、実際のトウモロコシ畑での実験で、Btを含む花粉によるオオカバマダラの致死的効果を確認しています。 質問者の言う「Pubmed」(医療情報データベース)の論文というのは、多分 D.G.Brake & D.P.Evenson の論文のことと思われます。「Pubmed」は論文の要約しか載っていないので、原論文が載っている、Food and Chemical Toxicology 42(2004年)p 29〜36 を読むことをお勧めします。この論文は、極めて恣意的にデータを取っている点で、ほとんど信用できません。GM大豆を食べさせたマウスの雄の精巣の検査をした実験で、4世代に渡って精子の数などに影響がなかった、というものです。しかし、各世代で何匹の子どもが生まれたかの記載もなく、精巣を調べた子どもの雄マウスの数も、各世代2〜3匹でしかなく統計的処理は出来ません。他の雄や雌マウスはすべて排除し殺した、と書かれています。これでは、影響の無さそうな2〜3匹を選んで検査したと思われても仕方がありません。 他方、GM大豆を食べさせたマウスの精巣の電子顕微鏡による観察で、明らかに異変が起こっているという、イタリアのM.Malatestaらの論文はいくつか公表されています。エルマコヴァ博士が何故 Brake & Evenson の実験を引用しなかったかは存じません。引用の上きちんと反論すべきでした。(河田) Q 先日北野大教授の本『北野大とやさしく学ぶ面白ゼミナール』を読んだら、そのなかにプシュタイ教授の実験結果を「イギリス政府がはっきり否定。蝶の実験も『特殊な環境の下での実験』」と書いていました。監修は独立行政法人云々で遺伝子組み換え作物の推進グループのようですが、こうした有名人を使ったキャンペーンについてどう考えますか。どう対抗していけるのでしょうか。(札幌) A プシュタイ博士の実験については、一度は王立協会が否定し、英国政府やマスコミも批判をしましたが、後に英国政府が名誉回復をし謝罪した経緯があります。蝶(オオカバマダラの幼虫)の実験についても、河田昌東さんが書いておられるように、否定されておらず、むしろ否定したのはモンサント社など極一部の人たちです。エルマコヴァ博士の実験に対しても、バイテク企業が音頭をとって、大変な誹謗中傷が飛び交っています。もし否定するならば、同じような実験を行うのが筋だと思うのですが。 Q3 博士の実験は否定されているのか Q イギリスでエルマコヴァさんの実験に対して否定的な政府の見解が出されています。その評価は。(札幌) A 英国政府(ACNFP:新規食品と加工に関する諮問委員会)の見解は、この実験について否定的というよりは、「実験条件、特に飼料の栄養成分の分析などがなく、審査機関の審査を経た論文でないので直ちに信用することは出来ない」というものです。実験事実を否定しているわけではなく、GM以外の他の要因も考えられる、としてさらなる情報を提供するように求めています。「否定的」というのは推進派の都合の良い解釈です。(河田) Q4 エルマコヴァ博士が追試験をしても科学界に通らないのか Q 他の研究者が追随試験をして正否を明確にしないというのであれば、イリーナさんのところで複数回追随試験をして、何度やっても同じ成果が出るということを証明してみせても、科学界や世間では通らないのでしょうか。(東京) A エルマコヴァ博士の実験は、最初の試行錯誤の段階です。他の研究者が同様の試験を行うことが必要で、それによって初めて客観的な評価が得られると思います。そのことを博士自身も繰り返し述べています。ところが現在、そのような方はなかなか出てきません。博士が最も苦労したのがGM大豆の入手と、それを用いての実験でした。なぜなら、必ず企業からの妨害が入るからです。博士も結局自費で実験を行わざるを得ませんでした。 Q5 GM大豆の影響は、プラスミドが要因なのか
A 外来遺伝子の宿主遺伝子上の場所が不確定なのは、アグロバクテリウム法もパーティクルガン法も同じです。従って、パーティクルガン法の方が安全とはいえません。ただし、アグロバクテリウムは本来植物の寄生細菌ですが、外来遺伝子を人間の細胞にも導入できることがわかっており、GM細胞を作る研究者などは気をつけなければなりません。(河田) A これまでプラスミドの影響に関してあまり指摘されてきませんでした。その点、エルマコヴァ博士の指摘は大切だと思います。アグロバクテリウム法でもパーティクルガン法でもプラスミドが使われています。GM技術は、複数の遺伝子をセットにしてプラスミドにつなげて導入します。そのため大量のDNAを導入することになります。以前、人類遺伝学者の外村晶博士は遺伝子組み換え技術の問題点として、DNA量の増加を指摘されました。現在の遺伝子組み換え技術は、DNAを加えるだけの単純な技術です。しかも多量のDNAを導入するにもかかわらず、それによる影響に関しては研究が行われてきませんでした。 Q6 遺伝子組み換え技術は、不完全なものなのか Q GM技術は不完全だからリスクの原因であるというが、GM技術は完全になり得るものでしょうか。完全なら安全になるのでしょうか。(東京) A GM技術がどのようになれば完全かは難しい質問です。そもそも、種の垣根をこえた遺伝子を導入するのですから。最低限、導入遺伝子が宿主の遺伝子に影響を与えないことが証明される必要があります。(河田) A 生命は大変複雑なシステムをもっています。遺伝子組み換え技術は、その生命の複雑なシステムに介入するため、何が起きるか予測できません。おそらくこのことは、解決不能なことだと思います。バイオテクノロジーが登場してすでに長い年月が経っていますが、いまだに予測できない、解決できないことが無数に存在しています。また、1つを解決すると、さらにその何倍もの新たな問題が生じてしまうのが現状です。 Q 遺伝子組み換え技術にリスクや不安定性があるということですが、どのような例がありますか。(札幌) Q 遺伝子組み換え技術のリスクと不安定性の話がよくわかりませんでした。例えば組み入れる遺伝子のコピー数を操作できないということなのでしょうか。(札幌) A GM技術の最も大きな問題は、外来遺伝子の挿入場所があらかじめ決められない、という困難です。そのため、挿入された外来遺伝子が宿主の遺伝子に与える影響がわからないのです。また、目的とされる外来遺伝子の発現のために、プロモーターやターミネーター、シグナルペプチド、など余分な配列を持ち込む必要があります。こうした外来遺伝子が、組み換え作物と同種の植物と交配すれば、環境や生態系に組み換え遺伝子が流出するリスクも生まれます。英国では、GMナタネの除草剤耐性遺伝子が野生のナタネに入り込んだ例があります。 導入遺伝子の不安定性、というのは、外来遺伝子と宿主の遺伝子との連結部が、そもそも不自然なため、組み換え過程で配列替えが起こり、意図しない配列ができてしまうことです。これは、ラウンドアップ耐性大豆で確認されています。その結果、意図しないタンパク質ができてしまう恐れがあります。 また、インゲンマメのαアミラーゼという酵素は、それ自体は非アレルゲンですが、エンドウマメにこの遺伝子を導入し作らせるとアレルゲンになる、という研究もあります(2005年)。同様の例に、ブラジルナッツの非アレルゲン遺伝子を大豆に組み込んだら、マウスに強いアレルゲンを発現したという例(1996年)があります。これは、異種生物の中では合成後修飾という反応が起こり、余分な糖鎖などが結合するからだと考えられています。 その他、ブドウ糖の代謝を活発にする目的で酵母菌の遺伝子組み換えを行ったところ、メチルグリオキサールという毒物ができた、という京都大学の研究例(1995年)もあります。これは挿入遺伝子が作るタンパク質自体の毒性ではなく、代謝に影響を与えた結果、毒性のある代謝産物が出来た例です。(河田) A 遺伝子組み換え技術は、予測できない問題が起きる不安定な技術です。それを象徴する研究結果が、最近、オーストラリアにある英連邦科学産業研究機関が行った実験で示されました。 実験では、エンドウマメに耐虫性を持たせるために、インゲンマメの遺伝子を導入しました。この遺伝子がもたらすタンパク質は、消化酵素のαアミラーゼを阻害することでゾウムシを殺す作用があります。実験の結果、このインゲンマメの遺伝子がもたらすタンパク質は、インゲンマメにある間はアレルゲンではなかったのに、エンドウマメに入れるとアレルゲンに変化したのです。このように遺伝子組み換え技術が予期しない影響を引き起こすことを示す例です。 Q7 GM作物は世界で消費されているが、これまで影響は出ていないのでは?
A 日本では表示制度があり、大量に出回っているといっても消費者の選択でGM大豆を直接たくさん食べるチャンスは少ないことが挙げられます。豆腐や納豆など大豆の成分を保存した状態のものは、混入率が1%未満のものが多いからです。大量に消費されている大豆油や醤油などは、大豆の成分が壊れたり分離されたりしており、影響が出にくいと考えられます。その限りでは、政府の言う「加工品の非表示」も機能しているといえます。油粕を食べている家畜の世界でどのような事が起こっているかは、調査がないので実態が不明です。北海道などでは一頭の親牛から生まれる子牛の数が少なくなった、という声も聞きます。(河田) A これまで家畜への影響が出たとするケースがいくつか報告されています。例えば、今年に入って、インドのアンドラプラデーシュ州でGM綿を収穫した後の畑に放牧された羊が1600頭死んだケースがあります。原因は不明ですが、農薬の可能性が薄いことから、GM綿の影響と見られています。さまざまな形で異常が起きていると思いますが、原因がわからないままになってしまうケースがほとんどです。これまで影響が出ていないと断定することはできないと思います。 Q8 加熱しても組み換え遺伝子は検出されるのか Q 遺伝子組み換えされている大豆や米などは加熱しても害毒が検出されますか。(札幌) A 加熱の程度にもよりますが、組み換えたタンパク質が検出されるケースは多くみられます。また、組み換えタンパク質ではありませんが、BSEで問題になっているタンパク質のプリオンは、通常の加熱では毒性が減らないため、かなり高温で、しかも加圧しなければなりません。タンパク質にもさまざまありますので、一般論として言えません。 Q 遺伝子を組み換えることは生物界に異変を起こし多くの影響を与えることはわかります。ただそれを加熱・精製・醸造することでDNAが残らないと聞いているのですが本当ですか。醤油メーカーのラベルに遺伝子組み換え大豆不使用を書く必要は本当はないとも聞きましたが。(関西) A 食用油やしょうゆの場合、タンパク質が精製や醸造で大半がなくなくなるといっても、100%すべてなくなるわけではありません。キャンペーンでも、食用油からタンパク質を集め、分析したことがあります。組み換えDNAは見つかりませんでしたが、不純物はあります。 確かに、醤油メーカーのラベルに遺伝子組み換え大豆使用/不使用を書く義務はありません。しかし、米国産などにたよっている大豆の場合、おせんべいなどの加工食品に用いられる醤油の大半が、遺伝子組み換え大豆から作られたものだと思われます。 |
|||||||||||||||
|次へ進む「9〜16」|「17〜25」| |