製粉協会にGM小麦に関する要請書を提出

2013年7月9日

製粉協会会長 岡田茂様

遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン
代表天笠啓祐

消費者が望まない遺伝子組み換え小麦は
扱わない姿勢を堅持して下さい

私たち「遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン(以下、キャンペーン)」は、1996年の設立以来、全国の生産者、消費者、流通業者とともに遺伝子組み換え食品に反対し、さまざまな活動を行っている市民団体です。

さて、お聞き及びと思いますが、5月29日に米国農務省動植物検疫局は、オレゴン州の農場から得られた小麦を検査したところ、モンサント社の未承認の除草剤耐性遺伝子組み換え(GM)小麦であることが判明したと公表しました。オレゴン州は小麦の一大産地で日本にも輸出されています。そこで農林水産省は直ちにオレゴン州産小麦の輸入を一時停止し、検査体制を確立することを決定しました。その後、米国農務長官は「市場流通品にGM小麦は認められていない」という調査結果を示し、米国の小麦は安全であると日本政府に伝えています。それ受けて、7月2日に林芳正農水相は米国側の対応を見極めたうえで、入札再開を判断するという考えを示しました。

今回自生が確認されたモンサント社の除草剤耐性小麦は、2005年には栽培試験を終了させていたものですが、2005年までオレゴン州のほか、ワシントン州やネバダ州、カンザス州などでも試験栽培が行われています。これらの州でも問題のGM小麦が生育し、市場に流れていた可能性は否定できません。

ご存知のように、モンサント社はこの除草剤耐性小麦の承認申請を米国政府に行うとともに、2004年にカナダ、日本、韓国等にも承認申請を行いました。私たちは、日本の消費者の「遺伝子組み換え小麦はいらない」という声を集めて、米国とカナダを訪問し、結果としてモンサント社は申請を取り下げざるを得ませんでした。その折、貴協会からは「日本の消費者はGM農産物の人体に対する安全性及び環境への影響に強い疑念をもっている。製粉協会はこのような状況では、GM小麦が含まれる、あるいは含まれているかどうかわからない小麦を原料とした小麦粉及びその製品は日本の市場では受け入れられないとみている。このような消費者に受け入れられない原料を使用するわけにはいかない」という力強いメッセージを米国の関係当局に送っていただき、モンサント社のGM小麦申請取り下げに大きな役割を果たしてくださいました。

その後、2009年6月には米国小麦協会、オーストラリア穀物協会、西カナダ小麦栽培者協会など小麦関連10団体がGM小麦の商業化を求める声明を出しました。その際も私たちは、全国の80団体の「GM小麦はいらない」という声を集め、北米のGM小麦反対グループと行動を共にしました。そして、貴協会に「GM小麦は扱わないという姿勢を堅持して下さい」と要請文をお送りいたしました。

GM小麦については現在、「干ばつ耐性小麦」の試験栽培が米国各地で行われています。最大の推進役はモンサント社で、2011年から試験栽培面積を拡大しています。今回の未承認GM小麦問題の原因が未だ分からない中で、干ばつ耐性GM小麦の試験栽培が続いている現状には大きな懸念を持っています。

小麦は、私たちにとって米に次ぐ主要な食糧ですが、国産はわずか1割に過ぎず、大部分は米国、カナダ、オーストラリアなどからの輸入に依存しています。もしGM小麦の生産が始まれば、その及ぼす影響は極めて重大です。今後も貴協会が「GM小麦は扱わない」という姿勢を堅持されることを強く望みます。