遺伝子組み換え食品添加物の安全審査の簡略化に反対します

13FSCW第7号
2013日消連第27号
2013年11月5日

 厚生労働大臣 田村憲久様

 

遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン
代表 天笠啓祐
食の安全・監視市民委員会
代表 神山美智子
特定非営利活動法人日本消費者連盟
共同代表 古賀真子
真下俊樹
山浦康明

遺伝子組み換え食品添加物の
安全審査の簡略化に反対します

貴省は「セルフクローニング」や「ナチュラルオカレンス」と呼ばれる遺伝子組み換え技術でつくられた食品添加物を食品としての安全審査の対象から外すとともに、セルフクローニングやナチュラルオカレンスであることの判断を事業者に任せようとしています。これは、規制緩和のために、食の安全を犠牲にする大きな問題です。このような改悪を私たちは到底、受け入れることはできません。

遺伝子組み換え食品添加物は、微生物を用いて生産されています。例えば、目的とする食品添加物が蛋白質だとすると、その蛋白質をつくり出す遺伝子を大腸菌に導入し、大腸菌を大量に培養することで、蛋白質を量産し抽出して製品化します。最終的には大腸菌は除去されるため、遺伝子組み換え体は残りません。このような組み換え体利用という方法は、トウモロコシや大豆のように組み換え体そのものを食べる食品とは区別し、安全審査が簡略化されてきました。

セルフクローニングやナチュラルオカレンスについて環境省は、遺伝子組み換え生物の環境への影響を規制した「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(カルタヘナ法)」では規制の対象外であるという見解を示していますが、貴省はこれまで「食品の安全性確保を通じた国民の健康のために」それらの安全性審査を行なってきたはずです。

セルフクローニングもナチュラルオカレンスも遺伝子組み換え技術を用いることには変わりがなく、組み換えによって予期しない変化が起きうることは免れません。また、微生物由来の不純物が生じ、それが予期しない毒性を発揮する危険性もあります。

セルフクローニングやナチュラルオカレンスを食品添加物の安全審査の対象から外すことは、そのような危険性を無視することになり、消費者にとって最も大切な食の安全を揺るがすことになりかねません。貴省には食品安全行政の基本姿勢を堅持し、これまで通り、慎重に一つ一つの食品添加物を評価することを強く求めます。

以上

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【用語解説】
セルフクローニング:組換えDNA技術によって最終的に宿主に導入されたDNAが、当該微生物と分類学上の同一の種に属する微生物のDNAのみである微生物と判断されたものをいう。
ナチュラルオカレンス:組換え体と同等の遺伝子構成を持つ生細胞が自然界に存在する微生物と判断されたものをいう。