培養肉に関する質問状への厚生労働省の回答

内外で研究開発されつつある培養肉について、食経験がないことから、十分な安全性の確認が必要であることから、厚生労働省に対応を問い送った質問状に対して、回答がありました。回答は専門家の意見を踏まえながら必要な対応を検討する、というものでした。安全性確認が不十分な中で培養肉が実用化されないよう、今後も対応を求めていきます。

 

質問

回答

1、貴省では培養肉という新たな食品の推進が検討されていますが、このようなものを食品と言えるのでしょうか。その点について、どのような検討が行われたのでしょうか。検討されたとすると、その結論を開示してください。検討していないとすると、その理由をお示しください。

いわゆる「培養肉」(細胞培養食品)は、従来の食肉とは異なり、牛、家禽などの動物細胞を生体から採取し、生体外で培養するという新たな方法によって作られる食品です。厚生労働省としては、「培養肉」等の食品に対し、食品安全の確保の観点から関わっております。
我が国における「培養肉」の現状については、生産技術を含め、研究開発の段階にあるものと承知しており、厚生労働省としては、厚生労働科学研究等により、安全性に関する科学的知見の収集や研究開発の状況等の情報収集を進めているところです。今後も引き続き、研究開発の状況、安全性に関する科学的知見、国際的な動向等を注視しつつ、専門家のご意見も踏まえながら、必要な対応を検討してまいります。
「培養肉」に関する厚生労働科学研究の情報については、厚生労働省ホームページ(※1)に公募内容を掲載しており、研究成果については報告があり次第、順次掲載予定です(※2)。また、新開発食品調査部会における議論の内容についても、企業の知的財産保護等の観点から公表するのがふさわしくない部分を除き、資料及び議事録を公開しています。
なお、食品衛生分科会に設置される新開発食品調査部会は、新開発食品の安全性の確保に関し、新たな知見を踏まえた管理措置等に関する事項を調査審議する観点から、それぞれの分野の専門家により構成されていますが、食品衛生分科会には、消費者団体を代表する委員も任命されています。

2、今年2月の国会質問に対して、岸田首相は培養肉生産(細胞農業)の推進を表明する一方で、安全確保と表示ルールについて環境整備を進めると答弁しました。加藤厚相も、安全面での対応を検討する旨を回答しています。昨年貴省に研究班が設置されると報道されていましたが、貴省ホームページに情報がありません。なぜ情報を公開しないのですか。

3、これまで培養肉の安全性評価について、どのような内容の確認を検討していますか。現時点で、培養肉に想定されるリスクについて、どのように考えていますか。

4、培養肉について、EUなどと同様に新規食品としての安全性審査を義務付けることを検討していますか。検討しているならば、その内容を公開してください。検討していないのならば、その理由をお示しください。

5、培養肉の安全性評価の方法や規制のあり方の議論に、消費者の声を反映させることを考えていますか。新開発食品調査部会に消費者代表を入れるなど、消費者の声を反映されることを要望します。

6、培養肉だけでなく、昆虫食や代替肉等、他のフードテック食品についても、安全性評価を行うよう要望します。

我が国においては、食品衛生法に基づき、人の健康を損なう恐れのある食品の販売が禁止されており、一義的には、食品の製造・販売等を行う事業者がその遵守状況を確認する責務を負っているほか、国や自治体による監視指導を通じ、食品の安全性の確保を図っております。昆虫食や代替肉についても、安全性に関する新たな科学的知見が得られた場合には、必要な対応を検討してまいります。